すでにご存知かもしれませんが、自立課題についてとても参考になるサイトを見つけました。
富屋特別支援学校・自立課題教材
いわゆるTEACCHプログラムでいうところの「自立課題(Independence Task)」の具体例がたくさん紹介されています。また課題内容が発達的に順序立てて示されているので、お子さんの発達段階に合わせて適切な課題を選択することができます。これだけの量の課題を公開した先生方の熱意に頭が下がります。
ところで、自立課題について個人的に大事にしなければと思うポイントがあります。
それは、「自立課題という『課題』はない」ということです。
つまり、いわゆる「自立課題」の目指すところは「その子が自立的に最後まで行う」という点にありますが、ここでいう「自立」の意味をしっかりと考えておく必要があると思うのです。
「自立」とはIndependenceであり、「In(否)」「Dependence(依存)」状態であるといえます。つまり、その特性から声掛けや手助けがないと課題に取り掛かれない状態(プロンプト依存)に陥りやすい自閉症のある子どもたちが、プロンプトに依存せずに自分の得意な認知能力を活かして最後まで自力で取り組むことが「自立している状態」ということだと思います。
またTaskは「課題」でもありますが、本来は細々とした「仕事」という意味もあります。つまり家事や身辺自立もTaskに入るのです。
つまりIndependence Taskといった場合、「誰かに依存しないで本人が自信を持って行える仕事」全般を意味するのであって、机上の「お勉強」だけではないということだと思うのです。
この点はスタッフの内部勉強会でもしっかりと確認したのですが、1対1の課題と自立課題が別々に設定されるのではなく、個別の評価をもとに構造化された課題を1対1でやってみて、それを自力でできることが確認されて初めて「自立課題」となる、ということです。
要するに、
1対1でアセスメント
↓
最も強く芽生えているタスクを評価し、「課題」として設定
↓
その子に合わせて課題を構造化
↓
1対1でまずはやってみる
↓
まだプロンプトが必要
↓
再構造化
↓
1対1で確認
↓
自立的に行えた!
↓
自立課題で
という流れが重要だと思います。そしてどんどん自立度が上がっていけば、再構造化のなかで構造化を減らしていけばよいのです。構造化は一度きりではなく何度でもアセスメントをもとにその子に合わせて変更されるべきものだし、課題もその子にとって必要な課題(IEPに基づいたその子の目標)はすべて対象になっているのです。
このあたりを誤解してしまうと、「TEACCHは何も指導しない」「世間は構造化されていないのだから構造化すると自立できなくなる」「TEACCHはワークエリアに子どもを閉じ込めている」などといった、本質的でない批判が生まれてくるように思います。
昨年の夏に行ってきた佐賀でのTEACCH5デイでも、実際にトレーナーの先生が「アセスメント→構造化→1対1ワーク→再構造化→自立課題」という流れを、お子さんの状態に合わせて丁寧に実施している姿に、自閉症のある子どもたちへの理解と、大袈裟な表現ですが深い愛情を感じました。ここまで丁寧に行うと本当に落ち着いてみなさん課題に取り組むことができるのだと、感動しました。
まだまだ自分自身のスキル不足を痛感する毎日ですが、僕も目標に向けて自分を高めていきたいと思います。
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