2010年8月18日水曜日

見通しをもって自立的に行動する力

今、佐賀のそれいゆさんで実習しています。

こうして実習させていただくまでにはいろいろ紆余曲折がありましたが、再び佐賀の地を訪れることができて本当に幸せです。まずは我が家の双子の面倒をみてくれている奥さんに感謝したいですし、事業所の上司にもこのような機会を与えていただき感謝したいと思います。

今日は幼児期のお子さんが通うプリスクールと、小学校6年生までのお子さんが通う児童デイサービスと成人期の方々への支援について見学しました。

午前中は幼児期のお子さんを対象としたプリスクールの現場に入らせていただいたのですが、お子さん一人ひとりの特性に配慮した個別のスケジュールを元にみなさん自立的にに活動されていました。

スケジュールもそれぞれ個別化されているので、実物提示であったり絵カードの指示だったりいろいろでしたが、一番大事な本人の自立を促すという理念の元、とてもスムーズに活動されていました。

現場実習なのでスタッフの皆さんの動きをジッと観察させていただいたのですが、スタッフの皆さんがお子さん達に慌てて声掛けせずじっと待っている姿が印象的でした。

本人がスケジュールを理解して、納得して次の行動に移れることを重視しているので、促すことは基本的にしないのです。その子が自分にとって必要な意味をスケジュールやワークシステムを通して理解することが目指されていました。

今までの自分だったら、なかなか次の行動に移れないお子さんがいたら、すぐに指さしをしたり身体的にプロンプトしていたと思います。確かにそうすれば一見スムーズに動いているかのようになりますが、お子さんにしてみれば自立的に動いたというようりは「動かされた」経験になるでしょう。さらに自分で納得くするちから環境からの意味を読み取る力、概念を形成する力を養う機会をお子さんから奪うことになり、結果としてその子の自立をスポイルしてしまうことになるのだと思いました。

プリスクールでの実践は、将来の「こうなって欲しい」という明確な親御さんの希望のもと、綿密に考えられた個別教育計画が基盤になっています。しかしその個別教育計画も、漠然とした将来の夢に向けた目標というものでなく、自閉症特性とその子の困難さを理解して作られています。一番の基本は、自閉症特性の理解にあるのです。

一般的に、知的障害をともなった自閉症のあるお子さんを支援する場合、身辺自立がまず最優先課題になるのではないかと思います。しかし、それいゆでは身辺自立はもちろん大事なのですが優先順位としては低いということをプリスクール園長先生から聞きました。このことは、それいゆさんでは自閉症のあるお子さんの困難さをどのように規定しているのかを端的に示す例です。

それいゆでは、「見通しをもって自立的に行動する力」を教える事を最も重視しています。逆に言えば、自閉症のあるお子さんの生きにくさは、「自分にとって必要な情報を得る事が難しいので、他者に依存しやすい」ということになります。誰かが側にいないと不安で課題ができない、声掛けされないと次の行動に移れない、一人で自由な時間を過ごせない等など、自閉症に関わっている者であればどれかは思いつケースだと思います。ここにそれいゆさんでは最もフォーカスを当てているのだと思いました。新しいことができるようになることは大事。身辺自立ももちろん大事。だけど最も大事なことは見通しをもって自立的に行えているかということなのです。

一日目にして、自閉症支援で何が大事なことなのかを改めて問われる経験をすることができました。

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